大学を卒業する年の正月に旧ソ連を旅行した。
新潟から乗った船が冬の日本海で尋常ではない揺れかたをして、食事(けっこうおいしかった)のたびに出てくる人の数が減ったこと、
到着地のナホトカでのいかにも悪代官といった風の役人による強烈に厳しい手荷物検査、
モスクワや旧レニングラードで街中に出たが買いたいものが(購買意欲をかきたてるものが)全くなかったこと、
確かウクライナ産のワインがなぜか意外においしかったこと、
シベリア鉄道からの車窓が北海道の興部や音威子府あたりの景色にすごく似ていたこと、
レニングラードからの夜行列車の車掌が日本人旅行客の財布をくすねてつかまったこと、
国内線の飛行機の中がやたら油臭くて閉口したこと、
ハバロフスクから鉄道と船で帰国する予定だったのが、なぜか飛行機で直行することになり2日早く帰国できたこと、お蔭で帰りは船酔いしなくてすんだのに、日程が短くなったのはけしからん!と不満をたれていた客が一名いたこと、
某有名女性漫画家が弟子たちを連れて同じツアーに参加しており、ツーショットしてもらったこと、
皆 今となってはよい思い出である。
◎ だが、その中で忘れられない思い出がある。
それはハバロフスクでの出来事、飛行機の待ち時間でヒマだったのでカウンターにいた空港職員に話しかけた。
当時の私は用もないのに空港職員に話しかけるなどということは滅多にしなかったのだが、
そのとき話しかけたのは、その職員がカトリーヌ・ドヌーブそっくりのブロンドの超美人だったからである。
やれレニングラードのエルミタージュ美術館は(彼女はヘルミタージュと英語式?の発音をした)はどうだった、
日本は今は寒いのかなどとどうでもよい話を数分英語で話し、
最後にサヨナラするときに彼女はにっこりほほえみかけてくれた、
そのとき彼女の前歯に何と銀歯のかぶせものがキラリ!と光ったのである!
これには たまげた!!
共産圏、特にロシア人の歯が悪いことは知識としては知っていたが、現実 目の前にするとかなりショック! 忘れることのできない体験になった。

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